大晦日のマチネ・コンサート

大みそかの午後、クラシックオーケストラのマチネ・コンサートに行ってきた。シュトラウスやベートーベンなどの親しみやすく比較的短い曲が多く、クラシックにあまり慣れていなくても楽しめるようなプログラムになっていた。

前から3番目というかなりいい席だったので、オーケストラ奏者たちの手さばきもはっきり見えて、とても興味深かった。
途中で新進ソプラノの若い女性がプッチーニの「O Mio Babbino Caro」を歌ったときには不覚にも涙が。美しい声だった。

こちらは往年のマリア・カラスが歌う「O Mio Babbino Caro」。わたしの大好きな曲だ。


最近はクラシックコンサートもずいぶんご無沙汰だったが、来年2024年からはまた行きたいと思っている。

さて、今回のコンサートでは近くの女性が時々大きな声で突発的に叫んでいた。トゥレット症候群だったのだと思う。

たぶん一緒に来たであろう隣のひとが「黙りなさい」と小さな声で何度も言っていた。
ただし、周りのひとはみなわかっていて、誰も振り向きもしない。冷静で良識のある人たちの対応だと思った。ずっと絶え間なく叫び続けて音楽が聞こえないわけでもなく、トゥレット症候群のひとだってライブ音楽を楽しむ権利がある、とわかっている人たちだった。

子どもが席で立ち上がったり泣いたり、泣き止まない子を抱いて外に連れ出した母親などもいたコンサート。Tシャツにショーツで来るひともいたコンサートだった。

しかも最後の「Rodetsy Marchでは、曲とともに大小様々でカラフルな風船が大量に天井からから落ちてきて、会場では音楽に合わせて手拍子を打ち、ポンポンと風船を飛ばしていた。大人(高齢者が多かった)も子どもも必死に風船を飛ばしあい、なんと舞台のひとたちも演奏の合間に参加。

知らないひとのために、こちらはアンドレ・リュウの指揮する「Rodetsy March」。なるほど、コンサート最後を飾るのにふさわしい曲だ。

しんと静まった会場で聴くクラシックのコンサートももちろん好きだが、今回のコンサートは咳をするのもはばかられるようないつものコンサートとはちょっと違っていた。1年の最後に皆笑顔で会場をあとにする楽しさに、なんだか駐車場に向かうときにも口元の微笑みがとまらなかった。

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